高血圧症について

血圧は、血管の収縮の程度やしなやかさ(血管抵抗)によって決まります。

上の血圧は、心臓が収縮し血管にもっとも強い圧力がかかっているときの値で、正式には収縮期血圧と呼ばれています。

下の血圧は、心臓が拡張しているときに血管にかかる圧力の値で、正式には拡張期血圧と呼ばれています。

高血圧の要因

高血圧は、原因をひとつに定めることのできない本態性高血圧と、原因が明らかな二次性高血圧に分けられます。

日本人の高血圧の9割が本体高血圧症で遺伝的素因(体質)や食塩の過剰摂取、肥満など要因が組み合わさって起こります。
中年以降にみられます。

残り1割が二次性高血圧症で原因を明らかにしてそれを取り除くことができれば、血圧の正常化が期待できます。
一般に、本態性高血圧とくらべると若い人に多くみられます。

血圧には家族性の要因が60%あるといわれています。
血圧を測るようにし、15歳をすぎたら年に1回くらいは血圧をチェックすることも大切です。
そのような意味でも、病院に行かなくても測ることができる家庭血圧の測定は有用です。

高血圧の恐ろしいところ

血圧は、サイレントキラー(静かなる殺人者)といわれるように、ほとんどの人で自覚症状がないにもかかわらず、脳や心臓の血管が動脈硬化を起こし、腎臓のはたらきが悪くなることもある決して侮れない病気です。

高血圧を放置すると、突然、脳卒中や心筋梗塞など命に関わる病気になることがあるほか、徐々に腎機能が低下して透析になってしまうこともあるので、早めに相談しましょう。

脳卒中により呂律が回らない女性

血圧の測定方法

血圧の測定には、以下の3つの方法があります。

(1)病院・クリニックなどで測る診察室血圧

(2)自宅にて自分で測る家庭血圧

(3)特殊な機器をつけて15分~1時間ごとに1日掛けて血圧を測る24時間血圧

わが国では一般に診察室血圧と家庭血圧が用いられます。

日本高血圧学会のガイドラインでは、血圧の値を次の表のように分類しています。

分類収縮期血圧拡張期血圧
至適血圧<120かつ<80
正常血圧120-129かつ/または<80-84
正常高値血圧130-139かつ/または<85-89
Ⅰ度高血圧140-159かつ/または<90-99
Ⅱ度高血圧160-179かつ/または<100-109
Ⅲ度高血圧≧180かつ/または≧110
(孤立性)収縮期高血圧≧140かつ/または<90

75歳未満は130/80mmHg、75歳以上で140/90mmHg未満を目指します。
合併している病気の状態などによって、より厳格に下げたほうがよい場合や、逆に慎重に下げたほうがよい場合があります。

また、下がりすぎによって血圧を下げる利益よりも副作用など不利益が大きくなってしまうことがあります。
めまいやふらつきなどの自覚症状の変化に気をつけ、家庭血圧を測り、目標に向けてがんばりましょう。

ご家庭で血圧を測りましょう

最近の研究で、脳心血管病(脳卒中や心筋梗塞など)の発症を予測する方法として、診察室血圧よりも家庭血圧の方が優れていることがわかってきました。
そのため日本高血圧学会のガイドラインでも、診察室血圧よりも家庭血圧を優先しています。

健康診断の機会や、受診の際に見せるようにしましょう。

ご家庭での血圧の測り方
  • 家庭血圧は朝と夜の1 日2 回、座位で測定します。
  • 測った血圧値はすべて血圧手帳などに記録しておきましょう。

朝・夜以外にも、職場やその他の活動で血圧が高くなる場合があります。

とくに、歩いたりした後ではすぐに血圧を測らず、座って1~2分間の安静を保ってから測るようにしてください。

血圧計は、上腕にカフを巻くタイプを用いてください。
手首に巻くタイプはどうしても値が不正確になりがちなので注意して使ってください。

家庭血圧計は薬局でも家電量販店でもよいものが簡単に購入できます。

血圧を測るイメージ

減塩の取り組み方

食塩摂取量の多い日本人では減塩による降圧効果が大きいと考えられます。

高血圧の人は1日6g未満が目標です。


いきなり厳しい減塩にすると体調を崩すこともあるので、少しずつ摂取量を落としましょう。
本態性高血圧患者では食塩摂取量を1日1g減らすことで平均1mmHg強の収縮期血圧の低下を期待できます。

また、子供のころから食塩摂取量を少なくしておけば、加齢による血圧上昇が抑えられ、高血圧になる危険性を低くすることができます。

肥満の予防

肥満も高血圧の原因になります。「体格指数(BMI)」の正常範囲は18.5~25.0(kg/m2)で、肥満者は25.0未満を目指して減量をします。

肥満があれば3~4kg減量すれば血圧の低下が期待できると言われています。

肥満の原因は過食と運動不足なので、減量のためには摂取エネルギーを抑え、併せて運動も行います。

ただし、急激に体重を落とすと、体調不良や達成後のリバウンドの原因となりますので、時間をかけて減量することが大切です。

長期にわたってBMI 25.0 未満の適正な体重を維持し続けるようにしましょう。
また、継続して一定量以上を飲むと高血圧の原因になります。

肥満イメージ

アルコールの適切な摂取量

多量飲酒は高血圧以外にも夜間睡眠時無呼吸などを引き起こします。


アルコール自体の量で男性20~30mL/日以下、10~20mL/日以下に控えてください。おおよそ日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎半合、ウィスキー・ブランデーはダブルで1杯、ワインは2杯とされています。

飲みはじめるとついつい多量になってしまうような人は、飲酒の機会を避けることもひとつの方法です。

日常的な運動の取り入れ方

血圧をはじめとする生活習慣病の予防や治療には、速歩・ステップ運動・スロージョギング・ランニングのような有酸素・持久性・動的運動が推奨されています。
あまりにきつい運動は血圧が運動中に上がる可能性があり、高血圧のある人にはすすめられません。

時間は毎日30分以上、または週180分以上が目安です。

長時間の運動をすると体を痛めたり、運動事故を起こしたりする原因となります。
筋力を維持するためのレジスタンス運動、あるいは関節の可動域や機能の向上のためのストレッチ運動を補助的に組み合わせてください。

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